ビデオゲームというバーチャルな世界に没頭する楽しみは、大きな健康被害をもたらすかもしれない。ある包括的なレビューでは、30億人を超える世界中のゲーマーが、不可逆的な難聴や耳鳴り(絶え間なく鳴り響く耳鳴り)のリスクをもたらすサウンドレベルにさらされている可能性があることが示唆された。
『BMJ Public Health』誌に掲載されたこのシステマティックレビューは、さまざまな地域から53,833人という膨大なコホートを対象として14の研究から得られたエビデンスを分析したものである。この研究から導き出された憂慮すべき結論は、ゲーマーは騒音暴露の安全限界に達したり、それを超える騒音レベルに頻繁に遭遇したりしているということである。
この研究で明らかになったひとつは、ゲームプレイ中にだされる音は、世界保健機関(WHO)と国際電気通信連合(ITA)が推奨する許容値である大人80デシベル(dB)、子供75デシベルというサウンドレベルをしばしば超えていることである。この問題は、週に3時間という長い平均的なゲーム時間によってさらに深刻化し、聴覚障害のリスクも著しく高まっている。
分析によると、ゲーム中の銃声や爆発音などのインパルスノイズが、ピークレベル119dBで記録されたケースもあるという。これらは短時間ではあるが強力な破裂音であり、聴覚系に即座にダメージを与える可能性がある。これらの調査結果からみれば、潜在的な危険性についてゲームコミュニティに知らせるなど、公衆衛生キャンペーンを強化する必要があると思われる。
このレビューでは、ゲーム中にヘッドホンを使用するという一般的な習慣にも光を当てている。これは、特に賑やかなゲームセンターでは、ゲーマーが環境騒音から隔離するために音量レベルを上げる傾向があるので、聴覚障害のリスクを増幅させる可能性がある。
リスクを明確にするために、騒音暴露レベルの「為替レート」(特定の騒音レベルに暴露される許容時間を定めた安全ガイドライン)を考えてみると分かるだろう。例えば、83デシベルの暴露は週20時間まで許容できるが、86デシベルの暴露は10時間を超えてはならない。しかし、典型的なゲーム環境では、これらの境界線に触れたり、境界線を超えたりすることがしばしばある。さらに、厳しい安全暴露限界が設定されているにもかかわらず、以上のような例は子供の場合にも観察された。
この調査結果は、危険な聴き方の蔓延を浮き彫りにする一方で、聴覚の健康に及ぼすeスポーツ、地域、性別、年齢による具体的な影響などによりエビデンスには大きなギャップがあることも明らかにしている。これは、予防戦略を導き、ゲーマーの聴覚を保護する世界的な政策に情報を提供するためにはさらなる研究の必要性を指摘している。
この研究では、単に難聴を防ぐだけでなく、私たちの生活を豊かにする複雑な音のタペストリーを守ることが極めて重要であることも示唆している。また、リスクに対する認識を高めるための教育的取り組みや、ゲーマーに安全なリスニング習慣をつけてもらうこと、そしてより安全な聴覚体験を保証するためにビデオゲームのサウンドデザインを再評価することなど、積極的なアプローチが求められている。さらにゲーマーには、音にさらされている状態を監視し、デシベルレベルを測定する機能を利用し、大音量を必要としないフィット感の良いヘッドホンを選び、耳を休めるために定期的に休憩を取るよう促している。
